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北千里駅前再開発の年表
2016年のビジョンから都市計画の手続きまで

北千里駅前の再開発は、2016年4月の活性化ビジョンに始まり、2022年の準備組合の設立と環境影響評価、2023年10月からの意見交換会、2024年6月の準備組合の案(28階・約98m・約500戸)を経て、2026年5月に都市計画の素案が審議会へ報告されました。都市計画の決定はまだです(2026年9月26日時点)。

執筆:吹田市議会議員 にしおか友和|公開:2026年9月26日|内容は2026年9月26日に吹田市の公式資料と市議会の会議録で確かめたものです。日付と数字は元の資料のとおりに書いています
  1. いまの段階(2026年9月26日時点)
  2. 年表(2014年度〜2026年)
  3. 市が示した今後の予定
  4. 予定はどう変わってきたか
  5. 年表から読み取れること
  6. 都市計画が決まったあとの流れ
  7. にしおか友和の考え
  8. よくある質問
  9. 出典

いまの段階(2026年9月26日時点)

北千里駅前の再開発は、2026年9月26日時点で都市計画がまだ決まっていません。市の手続きとして確かめられる最新の動きは、2026年5月25日の吹田市都市計画審議会(令和8年度第1回)に「都市計画(素案)」が報告されたことです。これは報告で、審議会に意見を求める「諮問」ではありません。

この再開発では、性格の違う3つの手続きが並んで進んでいます。どれか一つが終われば工事が始まるわけではないので、いまの位置を表にまとめます。

手続き決まりと進める人2026年9月26日時点で確かめられる段階
環境影響評価吹田市環境まちづくり影響評価条例。事業者は吹田市と準備組合2025年5月に出し直した提案書を、吹田市環境影響評価審査会が審議中です。2026年5月に景観部会を置き、6月4日と8月25日に開きました。審査会の答申はまだ出ていません。
都市計画都市計画法。決めるのは吹田市2026年5月25日に素案を都市計画審議会へ報告しました。この先は説明会、案の縦覧、審議会、決定・告示と進む予定です。
市街地再開発事業都市再開発法。施行者は北千里駅前地区市街地再開発組合(予定)組合は都市計画が決まったあとに設立の認可を受けるため、いまは地権者でつくる準備組合が事業を検討しています。

吹田市の「北千里駅前の再整備」のページ(2026年5月26日更新)では、経過の欄は2026年1月の都市計画審議会への報告が最後の行です。5月の審議会で示された7月中旬頃の説明会と9月中旬からの縦覧について、このページを書いた2026年9月26日の時点では、開催を知らせる市の告知を見つけられませんでした。そのため、このページではこれらを市が示した「予定」として扱います。

出典:吹田市「北千里駅前の再整備」(2026年5月26日更新)、「令和8年度第1回吹田市都市計画審議会」(2026年6月24日更新)、環境政策室「(仮称)北千里駅前地区第一種市街地再開発事業に係る環境影響評価」、「吹田市環境影響評価審査会」(2026年9月18日更新)。いずれも2026年9月26日に確認。

年表(2014年度〜2026年)

出来事を古い順に並べ、手続きの種類ごとに色の印を付けました。色だけで見分けなくてよいよう、各行の日付の横にも手続きの名前を書いています。白抜きの印と「予定」の表示は、まだ行われていない予定です。各行の下の「出典」から、市の元の資料を開けます。

図 北千里駅前再開発の年表(2014年度〜2026年。2026年7月以降は市が5月に示した予定)
  1. 2014〜2015年度
  2. 2014年度〜2015年度市・準備組合
    北千里駅周辺活性化ビジョンを2年かけて検討

    学識経験者3名・地権者2名・商業者3名・交通事業者2名・市民5名・行政機関2名の「ビジョン検討会議」と、ワークショップやアンケートで意見を集めました。

    出典:吹田市「北千里駅周辺活性化ビジョン」(2023年7月11日更新)

  3. 2016年
  4. 2016年4月市・準備組合
    北千里駅周辺活性化ビジョンを策定

    「住民の生活」「次世代の生活」「広域の視点」「様々な交流」を大切にするまちづくりの4つの理念を掲げ、千里北地区センターを「成熟社会にふさわしい地域拠点」にする方向性をまとめました。策定後、市は大規模地権者との協議・調整を進めました。

    出典:北千里駅周辺活性化ビジョン(本編PDF)(2016年4月)、吹田市「北千里駅前の再整備」

  5. 2017年
  6. 2017年11月市・準備組合
    事業の手法として、市街地再開発事業の検討へ

    市の企画会議で、民間施行の市街地再開発事業を視野に入れた再整備手法の検討を進める方向性を確認しました。

    出典:吹田市「北千里駅前の再整備」(2026年5月26日更新)

  7. 2018〜2021年度
  8. 2018年度〜2021年度市・準備組合
    市街地再開発事業の実現性を検討

    2018年度に北千里駅前地区再生計画策定業務、2019〜2021年度に北千里駅前地区街区整備計画策定業務を行い、市は概略の計画などを検討した結果、「事業の成立が見込まれる」と判断しました。

    出典:第9回意見交換会 説明資料(2026年3月)、令和4年度第1回政策会議の資料(2022年7月19日)

  9. 2020年度〜環境影響評価
    環境影響評価の調査・検討を始める

    吹田市環境まちづくり影響評価条例により、都市計画を決める前に手続きを始める必要があるためです。

    出典:令和4年度第1回政策会議の資料(2022年7月19日)

  10. 2022年
  11. 2022年4月市・準備組合
    地権者が準備組合を設立

    事業の準備組織として「北千里駅前地区市街地再開発準備組合」ができました(前身は北千里駅前地区市街地再開発協議会)。吹田市も、区域の中に公益施設を持つ地権者として加わっています。

    出典:吹田市「北千里駅前の再整備」、政策会議の資料、第6回-② 議事概要(2024年6月29日)

  12. 2022年7月19日市・準備組合
    市の政策会議が、事業への支援を承認

    民間施行の市街地再開発事業として、都市計画や補助採択などに向けて取り組むことを承認しました。資料の想定は、区域約3.5ha、概算事業費約572億円、想定延床面積約122,000㎡。当時の予定は令和5年度(2023年度)に都市計画決定、令和8年度(2026年度)に工事着工で、着工から完了まで10年間程度としていました。

    出典:令和4年度第1回政策会議(資料・結果)(2022年7月19日)

  13. 2022年10月27日環境影響評価
    市が環境影響評価提案書を提出(36階・約123mのツインタワー)

    事業者は、都市計画を決める吹田市でした。市が事業の成立性を確かめるためにつくった概略の計画では、住宅・商業棟が36階建てのツインタワー形式で高さ約123m、住宅は約700戸、商業・公益棟は地下1階・地上5階で高さ約30m、延床面積は全体で約122,000㎡。市はこれを「環境に及ぼす影響が最大限となる概略の事業計画」と位置づけていました。提案書は10月27日に受理され、10月31日に公開、12月15日まで意見書を受け付けました。

    出典:環境政策室「環境影響評価」、提案書 要約書(2022年10月提出版)

  14. 2022年11月25日・26日環境影響評価
    提案書の意見交換会(条例による)

    住民の出席は55名と34名でした。審査会の委員は、後の審査会で「説明会は紛糾しました」と報告しています。

    出典:「提案書意見交換会の開催結果」(2023年7月19日更新)、環境影響評価審査会 会議録(2022年12月7日)

  15. 2022年12月7日環境影響評価
    審査会が、審査を一旦保留

    提案書への意見書は49通(31名)、質問書は4通(4名)でした。審査会では、地域住民と意思疎通を図ったうえで改めて環境影響評価に取り組むほうがよいという意見が出され、審査を保留しました。

    出典:環境影響評価審査会 会議録(2022年12月7日)、第9回意見交換会 説明資料

  16. 2023年
  17. 2023年7月11日市・準備組合
    市が「よくある御質問」を公開

    約700戸は「仮定として、住宅部分の全面積を標準的な戸あたり面積で割り戻した結果」の数字で、「住宅開発を目的として戸数の設定等を行ったものではありません」と説明しました。提案書の計画については「計画のとおり事業が実施されることを前提としておりません」としています。

    出典:吹田市「よくある御質問(700戸)」「よくある御質問(提案書の計画)」(いずれも2023年7月11日更新)

  18. 2023年10月29日意見交換会
    北千里駅前まちづくり意見交換会が始まる

    第1回-①の参加は65人。市の主催で、2026年3月の第9回までに計12回開かれました。各回の記録は「意見交換会」のページにまとめています。

    出典:吹田市「北千里駅前まちづくり意見交換会」(2026年5月26日更新)

  19. 2024年
  20. 2024年4月20日意見交換会
    第5回で4枚の「カットパース」を確認

    第2〜4回のワークショップで出た「駅前でどう過ごしたいか」を、将来の利用風景イメージ(カットパース)4枚にまとめました。市は、これを準備組合とすべて共有すると説明しました。

    出典:第5回 説明資料(2024年4月20日)

  21. 2024年6月28日・29日市・準備組合
    準備組合が「まちづくり計画の概要(案)」を説明(28階・約98m)

    第6回意見交換会で説明されました。住宅・商業棟(B棟)は地上28階・高さ約98mで、住戸は約500戸の想定。商業・公益棟(A棟)は地下1階・地上4階・高さ約25m。事業費は約545億円、事業期間は令和8〜19年度(都市計画決定後の想定)としました。

    出典:第6回 説明資料、第6回-① 議事概要・第6回-② 議事概要

  22. 2024年11月12日都市計画・景観
    吹田市景観アドバイザー会議で事業の概要などを説明

    2回目は2025年6月10日です。

    出典:2026年5月25日 都市計画審議会 当日説明資料

  23. 2024年11月18日都市計画・景観
    都市計画審議会に事業の概要を報告

    定める都市計画は、市街地再開発事業、道路(駅前交通広場)、高度利用地区、地区計画の4つと説明しました。このときの予定は、令和7年度末の都市計画決定(令和8年2月頃に審議会へ諮問)、令和8年度に組合設立、令和10年度に工事着工、工事は令和19年度までの想定でした。

    出典:「令和6年度第1回吹田市都市計画審議会」の会議録

  24. 2025年
  25. 2025年1月9日環境影響評価
    審査会に手続きの再開を報告

    市は2022年の意見交換会について「唐突にお示しした市の検討案に、地元住民の混乱や多数の不安の声を生じさせてしまった」と報告し、提案書を準備組合の検討案に即した内容で出し直す方針を示しました。

    出典:環境影響評価審査会 会議録(2025年1月9日)

  26. 2025年1月18日・3月15日意見交換会
    第7回・第8回(室内交流・活動編)

    駅前に整備を検討している公益機能(コミュニティセンターなど)について、室内でしたい活動や、必要な機能・規模の意見を集めました。

    出典:第7回 説明資料(2025年1月18日)

  27. 2025年2月5日都市計画・景観
    吹田市景観まちづくり審議会に事業の概要を報告

    市の「北千里駅前の再整備」のページはこの報告を「令和7年(2024年)2月」と書いていますが、令和7年は2025年です。

    出典:2026年5月25日 都市計画審議会 当日説明資料

  28. 2025年5月15日環境影響評価
    環境影響評価提案書を出し直す(28階の案に沿って)

    事業者は吹田市と準備組合の連名です。敷地約3.5ha、高さは商業・公益棟が約25m、住宅・商業棟が約98m、住戸は約500戸。5月15日に受理され、5月22日に公開、7月6日まで意見書を受け付けました(意見書9通・4名、質問書なし)。

    出典:環境政策室「環境影響評価」、第9回意見交換会 説明資料

  29. 2025年6月20日・21日環境影響評価
    出し直した提案書の意見交換会(条例による)

    住民の出席は14名と18名でした。

    出典:「再提出された提案書意見交換会の開催結果」(2025年7月31日更新)

  30. 2025年8月1日環境影響評価
    環境影響評価審査会に諮問

    審議の1回目です。準備組合は、比べた2つの案(タワー形状・約98mのA案と、板状・60m未満のB案)のうち、足元の広場や歩行空間のつながりを確保できるとしてA案を採ったと説明しました。

    出典:「令和7年度第2回 環境影響評価審査会」の会議録

  31. 2025年11月19日環境影響評価
    審査会で2回目の審議

    出典:「令和7年度第4回 環境影響評価審査会」

  32. 2026年
  33. 2026年1月30日都市計画・景観
    都市計画審議会に、方向性と手続きの予定を報告

    このときの予定は、3月に地元説明会、5月頃に審議会へ報告、6月頃に公聴会等(都市計画法16条)、8月頃に縦覧(同17条)、11月頃の審議会で諮問して都市計画決定、というものでした。

    出典:「令和7年度第2回吹田市都市計画審議会」の会議録

  34. 2026年3月2日都市計画・景観
    市が、都市計画決定の予定を「令和8年11月頃」に変えたと答弁

    本会議で市は、令和7年度末に向けて調整していたが、法定の手続きの前に都市計画審議会と意見交換会で、より丁寧な説明や意見聴取を行うことにしたため、と説明しました。都市計画決定より後の日程は、準備組合で検討中としています。

    出典:吹田市議会 会議録(2026年3月2日 本会議の答弁)

  35. 2026年3月20日・23日意見交換会
    第9回(都市計画に向けて編)

    参加は41人と25人。法定の手続きに先立ち、まちづくりの方向性、都市計画に定める内容の概要、スケジュールを説明しました。

    出典:吹田市「北千里駅前まちづくり意見交換会」、第9回 説明資料

  36. 2026年5月7日環境影響評価
    審査会で3回目の審議。景観部会を置くことに

    出典:「令和8年度第1回 環境影響評価審査会」

  37. 2026年5月25日都市計画・景観
    都市計画審議会に「都市計画(素案)」を報告

    諮問ではなく報告です。素案では、事業の面積約3.5ha、駅前交通広場約5,780㎡(都市計画道路 千里3号線に追加)、延床面積約113,200㎡、高度利用地区(容積率の最高限度40/10。条件を満たせば50/10)などが示されました。

    出典:「令和8年度第1回吹田市都市計画審議会」(2026年6月24日更新)の当日説明資料・会議録

  38. 2026年6月4日環境影響評価
    景観部会(1回目)

    出典:「令和8年度第1回 環境影響評価審査会 景観部会」

  39. 2026年8月25日環境影響評価
    景観部会(2回目)

    出典:「令和8年度第2回 環境影響評価審査会 景観部会」(2026年8月28日更新)

  40. 2026年ここから下は予定(2026年5月25日の資料)
  41. 2026年7月中旬頃予定都市計画・景観
    都市計画変更説明会(都市計画法16条の公聴会として)
  42. 2026年9月中旬から2週間予定都市計画・景観
    都市計画変更案の縦覧(都市計画法17条)

    市の都市計画室の窓口と市のホームページで公表し、市民や利害関係者は意見書を出せる、と市は説明しています。

  43. 2026年11月中旬予定都市計画・景観
    吹田市都市計画審議会
  44. 2026年11月下旬予定都市計画・景観
    都市計画決定・告示

    出典(予定の4行):2026年5月25日 都市計画審議会 当日説明資料「今後のスケジュール(予定)」、同日の会議録

予定についての注意:7月中旬頃の説明会と9月中旬からの縦覧が行われたことを示す市の告知は、2026年9月26日時点で、市の「北千里駅前の再整備」のページなどで見つけられませんでした。市が新しい日程を示した資料も見つかっていません。上の4行は、5月25日の時点で市が示した予定です。

市が示した今後の予定

2026年5月25日の都市計画審議会で、市は都市計画の決定までの流れを次のように説明しました。

市が審議会の資料で示した手続きの流れでは、都市計画の素案のあと、公聴会等の開催(16条)、大阪府知事との協議(19条)、案の縦覧(17条)、審議会への諮問、決定と進みます。また、市の環境影響評価の決まり(施行規則4条)では、都市計画に定める事業の提案書は、17条の公告の前日までに出すことになっており、この提案書はすでに出されています。

同じ審議会では、委員から「都市計画決定されてしまうとそのあとはなかなか止まらない」として、11月というスケジュールでよいのか、その根拠について「もう少し腑に落ちるご説明」を求める意見が出ました。市は、11月の審議会で検討の材料を示すと答えています。また、景観を専門に議論する景観部会は、11月までに3回ほど開く予定で調整していると説明しました(6月4日と8月25日に開かれています)。

出典:令和8年度第1回吹田市都市計画審議会 会議録(2026年5月25日)、令和7年度第2回 都市計画審議会 報告資料(2026年1月30日)と2026年8月25日 景観部会 資料2 別紙2(手続きの流れと施行規則4条)。委員の名前は会議録でも伏せられています。

予定はどう変わってきたか

「いつ決まり、いつ工事が始まるのか」は、資料ごとに示され方が違います。示された時期の順に並べました。年度は4月から翌年3月までです。

示された時期と資料都市計画の決定工事の着手完了
2022年7月 市の政策会議の資料令和5年度(2023年度)令和8年度(2026年度)着工から10年間程度
2022年10月 環境影響評価提案書の工事スケジュール(案)記載なし令和8年度(2026年度)から解体工事令和16年度(2034年度)まで
2024年6月 第6回意見交換会・準備組合の案令和6〜7年度令和10年度(2028年度)から(最短)令和19年度(2037年度)
2024年11月 都市計画審議会への報告令和7年度末(令和8年2月頃に審議会へ諮問)令和10年度工事は令和19年度まで
2026年1月 都市計画審議会への報告11月頃(6月頃に公聴会等、8月頃に縦覧)記載なし記載なし
2026年3月2日 本会議での市の答弁令和8年11月頃に変更準備組合で検討中準備組合で検討中
2026年5月25日 都市計画審議会(素案の報告)11月下旬に決定・告示(7月中旬頃に説明会、9月中旬から縦覧)記載なし記載なし

都市計画を決める時期の目標は、2022年7月の「令和5年度」から、2026年5月の「令和8年11月下旬」へと後ろに動いてきました。理由について、元の資料には次の説明があります。

工事の着手と完了については、2026年3月の答弁で「準備組合において、現在検討中」とされ、その後に新しい見通しを示した資料は見つかっていません。2024年の案と報告が示した「令和10年度着手・令和19年度まで」は、都市計画決定を令和7年度までに行う前提のスケジュールだった点に注意が必要です。

出典:令和4年度第1回政策会議の資料、提案書 要約書(2022年10月)の表2 工事スケジュール(案)、第6回 説明資料、ニュースレターVol.6、第6回-② 議事概要、2024年11月18日 都市計画審議会 会議録、2026年1月30日 同 会議録、2026年3月2日 本会議の答弁、2026年5月25日 当日説明資料。

年表から読み取れること

市の資料を順番に読んでいくと、ニュースだけでは見えにくい点がいくつかあります。ここでは市や準備組合の説明をもとに整理し、評価はしていません。

1. ビジョンが決めたのは「方向性」。手法はそのあとに決まった

2016年のビジョンは、千里北地区センターを「成熟社会にふさわしい地域拠点」にするための理念と方向性をまとめたもので、事業の手法までは決めていません。ビジョンは新しい地区センターについて、周辺の商業施設や公共施設との役割分担をふまえた「身の丈にあった規模」で、これからの時代に期待される機能を満たす拠点になることを期待すると書き、進め方についても「地権者を中心とした再整備の準備組織を立ち上げることも必要」と書いています。

手法として民間施行の市街地再開発事業を検討する方向性を確かめたのは2017年11月の企画会議で、2022年4月に地権者の準備組合ができ、同じ年の7月に市が支援を決めました。市は現在も、この事業をビジョンの具現化に向けた取組と説明しています。商業の規模については、2024年6月の第6回意見交換会で、過大な商業施設は車の増加やシャッター通り化の心配があるため、近隣の暮らしを支える規模として1〜3階を中心に広く確保していると回答されています。

2. 「36階・約123m」が最初に出た理由は、手続きの順番にある

2022年10月の提案書の「36階・約123mのツインタワー」は、市が事業者となって環境影響評価に使った概略の計画でした。提案書の要約書は、条例に基づき都市計画に先立って環境影響評価を行う必要があるため、手続きの時点では詳細の事業計画が決まっておらず、「環境に及ぼす影響が最大限となる概略の事業計画」で評価すると説明しています。市は、このように事業検討主体の具体的な計画より先に市の検討案で手続きを進めるのは、市内の市街地再開発事業で初めての例だとも書いています(よくある御質問)。

その結果、具体的な建物の姿が最初に示されたのが、この上限の計画になりました。審査会の委員は「計画に関わる具体的な情報が出たのが、今回の機会が初めてだったのでは」と述べ、住民の関心や意見がそこに集中したと振り返っています。市は2025年1月の審査会で、この時の説明を「唐突にお示しした市の検討案」と表現しました。

3. 約700戸と約500戸は、数字の性質が違う

約700戸は、市が概略の計画で「仮定として」割り戻して出した数字です。約500戸は、準備組合が2024年6月に「この程度の規模であれば500戸程」と説明した想定で、2025年5月の提案書の事業概要にも「約500戸」とあります。2026年5月の審議会で市は、準備組合が公表しているのは「500戸程度の規模で、98メートル程度の高さ」だが、事業の資金計画が確定していないので「まだ確定したものではない」と述べました。

また市は、建物の形や高さ、タワーマンションであることは都市計画の決定事項に入らず、延床面積や建築面積などの規模が都市計画図書に入るので、そこから大幅に増減しないようにする必要があると説明しています。縮小後の案について、市は「施設規模等を見直した計画」「準備組合による検討案」、準備組合は「人中心の空間づくりと事業性を考え、住宅の高さを下げられるかを準備組合で検討した案」と説明しています。

4. 事業者の顔ぶれの変化と、市の二つの立場

2022年の提案書の事業者は吹田市だけでしたが、2025年の出し直しでは吹田市と準備組合の連名になりました。市は、区域の中に公益施設を持つ地権者として準備組合の一員であると同時に、地区センターの再整備を支援・指導する行政の立場でもあると説明しています(第6回-②)。第1回-①では、市と地権者で調整してきた案を仮に大幅に上回る案が出た場合は「市としても行政指導を行う」と答えています。

5. 住民と話す場は2種類ある

年表には、名前の似た2種類の「意見交換会」が出てきます。環境影響評価の意見交換会は条例に基づいて事業者が開くもので、提案書のあとと評価書案のあとに1回ずつ開く決まりです。北千里駅前では提案書を出し直したため、2022年11月と2025年6月に、それぞれ2日に分けて開かれました。もう一つの北千里駅前まちづくり意見交換会は、2022年の審査保留のあと、市が地域への説明と意見交換のために2023年10月から開いているもので、2026年3月までに12回開かれています。

出典:北千里駅周辺活性化ビジョン(2016年4月)、第9回 説明資料、第6回-① 議事概要、提案書 要約書(2022年10月)「はじめに」、吹田市「よくある御質問(概略の計画)」(2023年7月11日更新)、2022年12月7日・2025年1月9日・2025年8月1日の環境影響評価審査会 会議録、2026年5月25日 都市計画審議会 会議録、2026年1月30日 報告資料、第6回-② 議事概要、第1回-① 議事概要、「再提出された提案書意見交換会の開催結果」。

都市計画が決まったあとの流れ

市が審議会の資料で示した流れでは、都市計画が決まっても、すぐに工事が始まるわけではありません。

出典:2026年1月30日 都市計画審議会 報告資料(手続きの流れ)、第6回-② ふりかえりシートへの回答(府知事の認可、組合設立の同意)、2026年8月25日 景観部会の資料2(組合の解散)と資料2 別紙2(手続きの流れ、評価書案でのパース、事後調査計画書)、2026年3月9日 予算常任委員会 建設環境分科会の答弁(評価書案の意見交換会)、2026年5月25日 都市計画審議会 会議録(地区計画)、2024年11月18日 同 会議録(大阪府の再開発の方針)。

にしおか友和の考え

ここからは、にしおか友和本人の意見です。上の年表と市の説明とは分けて載せています。

議会でのやりとりと市の答弁は「議会での議論」のページに、時期の順にまとめています。

出典:吹田市議会 会議録(2023年7月20日、2026年2月27日)

よくある質問

北千里駅前の再開発の都市計画はいつ決まりますか?
市が2026年5月25日の都市計画審議会で示した予定では、7月中旬頃に説明会、9月中旬から2週間の縦覧、11月中旬の都市計画審議会を経て、11月下旬に都市計画決定・告示です。ただし、説明会と縦覧が行われたことを示す市の告知は、2026年9月26日時点で確認できていません。最新の日程は吹田市の「北千里駅前の再整備」のページで確かめてください。
36階・約123mのツインタワーの計画はどうなりましたか?
36階・約123mのツインタワー(約700戸)は、2022年10月の環境影響評価提案書で市が示した概略の計画です。市は、環境への影響が最も大きくなる場合を想定した建物の上限で、「計画のとおり事業が実施されることを前提としておりません」と説明していました。2024年6月に準備組合が示した案では、住宅・商業棟は地上28階・約98mのツインタワーで、住戸は約500戸の想定です。2025年5月に出し直した提案書も、この案に沿った内容です。
約700戸と約500戸は、どういう数字ですか?
約700戸は、2022年の概略の計画で、住宅部分の全面積を標準的な1戸あたりの面積で割り戻した「仮定」の数字だと市は説明しています。約500戸は、2024年6月の意見交換会で準備組合が「この程度の規模であれば500戸程」と示した想定です。2026年5月の都市計画審議会で市は、資金計画が確定していないので確定したものではないと述べています。建物の形や高さ、タワーマンションであることは、都市計画の決定事項には入りません。
工事はいつ始まり、いつ完成しますか?
決まっていません。2024年6月の準備組合の案では令和10年度(2028年度)に工事着手、令和19年度(2037年度)に事業完了の想定で、同じ年の11月の都市計画審議会にもこの想定が報告されました。2026年3月2日の本会議で市は、都市計画決定より後の日程は準備組合で検討中と答弁しています。工事は店舗の営業を続けながら段階的に進める考えが示されていますが、具体的な工事の順番はまだ決まっていません。

市の問い合わせ先

吹田市 都市計画部 計画調整室
市街地再開発事業担当06-6318-6369

吹田市「北千里駅前の再整備」のページに載っている問い合わせ先です(2026年9月26日確認)。環境影響評価の手続きは、環境部 環境政策室の「環境影響評価」のページに案内があります。番号をタップすると電話をかけられます。担当がわからないときは、吹田市役所の代表電話(06-6384-1231)へ。

出典

  1. 吹田市「北千里駅前の再整備」 (2026年5月26日更新)
  2. 吹田市「北千里駅周辺活性化ビジョン」と本編PDF (ページ2023年7月11日更新。本編は2016年4月)
  3. 吹田市「令和4年度第1回政策会議」(資料・結果) (2022年7月19日開催)
  4. 吹田市環境政策室「(仮称)北千里駅前地区第一種市街地再開発事業に係る環境影響評価」と提案書 要約書(2022年10月提出版) (2026年9月26日閲覧)
  5. 提案書意見交換会の開催結果・再提出された提案書意見交換会の開催結果 (2023年7月19日・2025年7月31日更新)
  6. 吹田市環境影響評価審査会(2022年12月7日、2025年1月9日、8月1日、11月19日、2026年5月7日、景観部会6月4日・8月25日の各会議) (2026年9月18日更新)
  7. 吹田市「よくある御質問と市の考え方」 (2023年7月11日更新)
  8. 吹田市「北千里駅前まちづくり意見交換会」(各回の説明資料・議事概要・ニュースレター) (2026年5月26日更新)
  9. 吹田市都市計画審議会(2024年11月18日、2026年1月30日、2026年5月25日の資料・会議録) (令和8年度第1回のページは2026年6月24日更新)
  10. 吹田市議会 会議録 (2026年3月2日 本会議、2026年3月9日 予算常任委員会 建設環境分科会ほか)

いずれも2026年9月26日に内容を確かめました。計画の数字は都市計画が決まる前の案で、変わることがあります。市の資料にある図やパースは、著作権の関係でこのページには載せていません。見るときは出典のリンクから市の資料を開いてください。

にしおか友和
このページを書いた人:にしおか友和(西岡 友和)

吹田市議会議員(立憲民主党・2期目)。1974年吹田市生まれ、藤白台在住、3児の父。NTTグループで約20年ICTコンサルタントを務めたのち2019年初当選。市の公式資料と議会の答弁をもとに、暮らしの疑問に答えるページをつくっています。

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